船で地球が丸いと分かるか 再び2018年06月22日

4月22日の日記で、船が沖に出るときに、その見え方で地球が丸いのかわかるものが確認してみた報をしました。しかしその日は薄雲がかかり、沖に出た船はあまりよく見えませんでした。またカメラも、望遠レンズを忘れたため、標準ズームで撮影したものを拡大したもののみ。

今回、久々に青森へ出かけた際、晴天に恵まれたこともあったので、再挑戦してみました。
撮影地も、前回はフェリー埠頭で行ったところ、途中を防波堤見られなかったので、今回はGoogle Mapの衛星写真で確認して、合浦公園近くの海辺で行うことにしました。

  (クリックで拡大)

  是川緑地公園からの景色

  是川公園から見たフェリー埠頭(f=100mm)

  フェリー出港(10:05、f=100mm)

  フェリー、防波堤を越える(10:11、f=300mm)

  フェリー、水平線の彼方へ(10:15、f=300mm)

  10:17、1/2トリミング(f=600mm相当)

  10:19(f=600mm相当)

  10:20、10:21、10:22、10:23、10:24(f=300、同写野)

  10:24、10:25、10:26、10:27、10:28、10:29、10:30、10:31、10:32(f=300、同写野)

前回は、薄曇りの中、遠くへ行ったフェリーが吃水線から見えなくなっていったように見えたように思ったのですが、今回撮影してみると、出航から20分経って、望遠レンズで撮影しても、そのような様子を確認することはできません。30分経った頃に、よく見ると、吃水線が見えなくなっているような。

この様子から、やはり港から離れた船の様子を見て地球が丸いことが分かるとするのはムリがあるような・・・

Amazon Prime ビデオで COSMOS!2018年05月13日

月会費400円ほどで Amazon Prime 会員になってます。Prime会員の特権はいろいろありますが、私が一番使っているのは Primeビデオの視聴。追加料金のかかるビデオもありますが、Prime会員特典で無料で観られるものもたくさん。

その特典ビデオにこのたび、『COSMOS:時空と宇宙』が登録され、観ることができるようになりました!


私の天文人生に大きな影響を与えた、カール・セーガンの『COSMOS』の続編として2014年に公開されたTV番組で、都市圏ではTVで放送されたのですが、こちらでは放送ならず。レンタルビデオ店の棚に並ぶことも無く、観る機会が無し・・・ ついにその機会 来訪!!

  カール・セーガンの『COSMOS』冒頭

  ニール・タイソンの『COSMOS』の冒頭

司会であるアメリカの天体物理学者ニール・ドグラース・タイソンは、若い頃にカール・セーガンと会い、強い影響を受けて、自身も天文学者になったのだと言います。

予算の都合か、想像の宇宙船などのCGや、人物の物語のアニメシーンの時間が長いですが、それはそれとして面白いです。

番組中で何度もカール・セーガンの『COSMOS』のことが触れられるので、初めて見る人は、まずセーガン版を観てからの方が良いでしょう。新しくなった宇宙カレンダーの理解のためにも。

話数  サブタイトル        原題
 1  銀河に立つ         Standing Up in the Milky Way
 2  生命の流れ         Some of the Things That Molecules Do
 3  知識の栄光         When Knowledge Conquered Fear
 4  空に溢れる幻想の世界  A Sky Full of Ghosts
 5  光と影             Hiding in the Light
 6  より深い世界へ       Deeper, Deeper, Deeper Still
 7  クリーンルーム       The Clean Room
 8  太陽の姉妹         Sisters of the Sun
 9  地球という世界       The Lost Worlds of Planet Earth
10  電気に魅せられた少年  The Electric Boy
11  永遠の命           The Immortals
12  解き放たれた世界     The World Set Free
13  未知を楽しむ         Unafraid of the Dark

宇宙シミュレーションソフト Gaia Sky2018年04月25日

ネットニュースで、ESAの宇宙望遠鏡Gaiaの観測した恒星カタログ2ndリリース、Gaia DR2を使った宇宙シミュレーションソフト Gaia Sky というのがあることを知りました。

このソフトは Gaia の恒星を表示させるだけでなく、実に様々な表示機能があるようです。


PCの全てのOSに対応しているという、すばらしいソフトです。ただ、サイズがデカイ!
 Linux  870MB
 Windows 64-bit 909MB
        32-bit 913MB
 Mac OS X 939MB

サイズがデカイので、ダウンロード中はPCをできるだけ使わないようにして待っていました。
ダウンロードした gaiasky_windows_x64_2_0_0.exe は 957MBもありました!
これが、PCにインストールしてできたフォルダの使用容量は 1.4GB!!

早速起動すると、地球を眺める位置からの景色。

天体のラベルがちと大きいなぁ。左上にあるControl panelでいろいろ設定できます。とりあえず、ラベル表示だけ無しにして。
 

ソフトの使い方はMitakaに近いです。ジョイスティックを使ってのプラネタリウムでの投影もできるみたい。
地球からどんどん離れていって、恒星間を抜け、銀河系を飛び出し、銀河団や大規模構造など、操作性はMitakaそっくり。でも表示されるデータが全然違って、膨大です!

GaiaSkyのフォルダには基本的なデータだけが入っているようで、暗い恒星のデータはインターネットから入手して、徐々に表示していきます。

10億個の恒星で埋め尽くされた星空の美しいこと! Gaia Skyのいろんな機能を楽しむのはあとにして、まずはこの星空を楽しみたいです。

船で地球が丸いと分るか2018年04月22日

地球が丸いことが分る証拠としてよく紹介されるのが、遠くからやってくる船が、まずマストから見え始め、徐々に船体が見えるようになる、という話。


この説明を私は疑問に思っていました。それほど遠くの船の見え方の違いが、肉眼で分るものか。

まず、この説明の出所を調べました。

プトレマイオスの『アルマゲスト』には、次の様に大地が丸いことの説明が書かれていました。
・天体の出没が、まず東の地域で見られ、次第に西の地域で見られるようになる
・北に近づくと没することのない星が増え、それと同様に南方の星が減る
・海上で山や高地に向けて航海すると、水面で隠れていた山や高地が海上に出現する
このことから、プトレマイオスの説明ではないことが分りました。

次に、コペルニクスの『天球回転論』を調べてみました。
・北斗七星の方(北方)へ行くと日周回転の一方の極(北極)は次第に高くなる
 北斗七星の周囲の多くの星が沈まなくなり、南ではいくつかの星が出てこなくなる
・夕方の日食や月食を東方の住民は体験せず、朝方のものは西方の人々は体験しない
●…船乗りたちによって認められている。
 というのは、船体から認められない陸地がマストの頂きからは概ね眺められる。
 逆に、マストの頂きに輝くものを据え付け、陸地から船が離れてゆくと、
 岸にいる人にはそれが少しずつ下降していくように見える。
このようにコペルニクスは船乗りの談を紹介してもいますが、現在に語られるような内容ではありません。
ちなみにコペルニクスのこの箇所は、プリニウスの『博物誌』からの引用とのこと。

文献資料での確認が追いつかないので、まずは自分の目で確かめることにしました。それは、青森市から函館へ向かうフェリーを見送ることでした。

カーナビに目的地をフェリー埠頭にセットし、カビ任せの見知らぬルートをドライブ♪
国道7号線を進むと思いきや、合浦公園を過ぎたところから陸奥湾寄りの道に。あぁ、青森ベイブリッジを通るのか!


函館行きのフェリー出発の30分ほど前にフェリー埠頭に到着。


あらかじめGoogle Mapで選んだ撮影地でフェリーの出発を見送ります。



ところがフェリー、真っ直ぐ進むと思いきや、左の方に方向を変え、沖の防波堤で隠れてしまいました!
 

  (上の画像を拡大。肉眼でも船の喫水線の青い部分が見えます。)

フェリーが防波堤に隠れたので、急いで見える場所へ移動!


せっかく出かけたのに望遠レンズを車に積むのを忘れたので標準ズームで撮影。
でも、肉眼でも喫水線の青い部分が先に見えなくなったことが分りました。

この日は透明度がよく無かったのでハッキリ撮影できず、残念。また今度、晴れた日に、今度こそ望遠レンズを使って、水平線に沈むフェリーを撮影したいものです。

宇宙図2018がリリース2018年03月20日

「宇宙図」。
「発明の日」である4月18日を含む月曜から日曜までの「科学技術週間」の企画で、「一家の1枚」科学技術ポスターに、2007年は天文学が対象となり、制作されたのが「宇宙図」。
オリジナルのA2版のポスターには、宇宙の物質と生命の歴史についての最新情報が事細かに盛り込まれていました。

  宇宙図2007

これが全国の学校や科学館などに配布されると、科学館では大騒ぎになりました。
 「初めて見るこの図を、どうやって解説しよう?」
 「宇宙が誕生してから137億年というのは知ってるけど、ラッパの上縁の ”470億光年” って何?」
 「人のマークの下の ”しずく形” は何?」
そこで大急ぎで全国各地の科学館で職員の間で「宇宙図」の勉強会が開催されました。

情報の多さは、A2版でも小さいほど。まして家庭配布用のA3版では字が小さくて、拡大レンズを使わないとよく見えないカモ。

私も当時勤めていた某館で、PDFの分割印刷でA3用紙4×4の16枚(A0版の2倍)の大きさ大ポスターにして壁に貼りだしてました。(拡大ポスターのアイデアは、ひろの牧場の天文台から拝借 (^-^) )

そんな「宇宙図」が、2013年に更新されました。

  宇宙図2013 (クリックで拡大)

図の概要を2007年版と見比べるだけで、情報量がずいぶん増えたことが分ります。解説文字も多くなって。この図には、宇宙の膨張率が加速していることも図に盛り込まれています。

そんな「宇宙図」が、5年ぶりに改訂されました。「宇宙図2018」の登場です!

  宇宙図2018 (クリックで拡大)

「宇宙図2013」に比べても、情報量が多くなり、また何やらいろんな図が!

宇宙図2018における主な改定内容」というWebページがありました。

・最下部 「宇宙は、この宇宙ひとつだけなのか?」パート (新設)
 インフレーション理論についての具体的な記述を増やし、新たにマルチパースに
 ついても触れました。
・最下部 「人間は宇宙の彼方に何を見るのか?」パート (新設)
 宇宙図の意味をいまいちど振り返り、その位置づけについての理解を深めるため
 の説明を追加しました。
・重力波の検出成功に伴い、関係箇所を更新
 2015年にブラックホール同士の衝失に伴う重力波が初めて検出されたことや、
 2017j年に連星中性子星の衝突に伴う重力波が初めて検出されたことを受けて、関蓮
 する記述を追加しまLた。
・太陽系外惑星探査の進捗に伴い、関係箇所を更新(文章、数字)
 2013年以降の太陽系外惑星研究の発展に伴い、関連する記述を更新しました。
・元素周期表を一新 (由未情報を追加、ニホニウムを追加)
 元素の由来についての情報を新たに追加するとともに、日本の研究グループによ
 って発見されたニホニウムを追加しまLた。
・最新の観測/シミュュレーション画像を採用(ALMA、太陽系内天体等々)
 アルマ望遠鏡など新Lい観測装置およぴ宇宙探査機によって得られた最新の画像
 に置き換えました。
・図の形を決める宇宙論パラメータを最新の値に更新
 中央のメインビジュアルの形を決めている宇宙論パラメータを最薪のものとしま
 した。

今回のリリースにあわせて、プロジェクトの関係者を呼んでのニコニコ生放送 「ウエザーニュース熱血教室 さぁ、宇宙の話をしよう」がLIVE配信。YouTubeでも見ることができました。出演者は以下。
 ・国立天文台 高梨直紘
 ・美術家 小坂淳 (著書「宇宙に恋する10のレッスン」)
 ・コピーライター 片桐暁(あきら)
 ・哲学者 吉田幸司 (”なぜ世界は存在するのか”とテーマに研究)


3時間に及ぶ解説(冒頭1時間は高梨氏による宇宙の解説)。
ニコ生ならでのゆる~い感じで、それでいて深い内容の、とても興味深い解説でした。

早速ダウンロードしたのですが、今の私に使い道あるかなぁ~?

シリウス・ミステリー2018年03月04日

NHK BSで放送されている『コズミックフロント NEXT』の2018年2月8日の放送が「天狼星 シリウスのミステリー」というタイトルでした。内容は、いわゆる「シリウス・ミステリー」の概要と、最新天文学での検証。久しぶりに目にしたので、改めてミステリーの内容を確認し、また番組で紹介した最新天文学での検証内容を自分でも確認してみました。


★ミステリーその1 シリウスの固有運動のふらつき

1844年、ドイツの天文学者ウィリアム・ベッセルは、シリウスの固有運動にふらつきがあることを発見しました。そこでシリウスには未発見の伴星があると考えられました。


1860年、アメリカの望遠鏡制作者アルヴァン・グラハム・クラークは父と共に、当時アメリカ最大の直径47cmの反射鏡を作り、これを使った望遠鏡でさまざまな1等星に向けて像を確認していたところ、1864年に望遠鏡を向けたシリウスだけすぐそばに小さな光点が見えることに気付きました。クラークは望遠鏡を何度も確認し、これはシリウスの未発見の伴星であると結論付けました。
この星はシリウスBと呼ばれるようになりました。

シリウスBを観測し、シリウスの運動のふらつきから想定される質量の星にしては暗いことが謎となりましたが、1915年にシリウスBのスペクトルがようやく観測されて、1万度近い高温の天体であるにもかかわらず表面積の小さい天体であることが分かり、これが白色矮星であることが判明しました。

  The Sirius System から。共通重心を回るシリウスAとシリウスB。

  The Orbit of Sirius A and B から。シリウスAを中心としたシリウスBの位置。

このことからシリウスは、太陽質量の5倍ほどのシリウスBと連星を成していたが、約1億2000万年ほど前にシリウスBが寿命を迎えて赤色巨星となり、やがて白色矮星となったと、恒星進化論から考えられます。


★ミステリーその2 アフリカ ドゴン族の先祖はシリウス星人?

1931年、フランスの人類学者マイセル・グリオールらはアフリカの西部、マリ共和国に住む原住民族であるドゴン族を研究するため現地に赴きました。ドゴン族はこれまで文明社会とほとんど接触することがなく、古い伝統的な生活を営んでいたためでした。


グリオールらはドゴン族と一緒に生活をして信用を得、15年後の1946年に長老から、一族に伝わる伝承を聞き出すことに成功しました。その内容は以下。
  宇宙を創られた神アンマは、全ての星の中で最初に”ポ・トロ”を造り、そのそばに
  最も明るい”シギトロ”を造った。ポ・トロは重要な星で、人の眼では見えない。
  ポ・トロの周回軌道は楕円で、母なる星はその焦点の一方に位置する。
  シギトロの周りをポ・トロより4倍軽く軌道も大きいエンメ・ヤが回っている。
  エニャ・メの周りをニャン・トロが回っている。ニャン・トロにはノンモが住んでいる。
  ノンモは地球を訪れ、ドゴン族やほかの人類に文明を与えた。

長老はシリウスを指して、あれがシギトロだと言ったといいます。このことから、シギトロ=シリウス、ポ・トロ=シリウスBということになるといいます。


またドゴン族の天文知識はそれだけではありませんでした。
木星には4つの衛星が、土星には環があることを知っていたということです。

  ドゴン族が描いた木星と4つの衛星(左)、土星の環(右)

このような知識はノンモから与えられたということです。
  遠い昔に神アンマはノンモを造り、ノンモに似せて人間を造った。
  ノンモは人間の祖先と共に方舟に乗って空から大地に降りてきた。

つまり、空飛ぶ円盤のようなものでシリウス星系のニャン・トロからやってきたノンモが連れてきた人間がドゴン族の祖先だと。そしてノンモは半魚人のような姿をしているが、人間のような姿にもなれるといいます。

  ドゴン族が描いたノンモ( Dogon より)

この伝承については、シリウス星系については最新天文学と同じ内容を示しながらも、木星の衛星を4つしか知らなかったり、土星には環があるといった、天文知識としては一般的な情報になっている偏りがあります。

シリウスBについては、1927年にイギリスの物理学者エディントンが著した『物質界の性質』に分かりやすく解説してあり、その時代の大きな話題であったことでしょう。
またドゴン族の住むマリは1920年からフランスの植民地でした。
このことから、グリオールの前にこれらの断片的な天文知識を持ったフランス人と接触があり、彼等に聴いた話を自らの伝承とした、民俗学で言うところの ”文化の再解釈” が行われた結果ではないか、というのが研究者の見解です。

この見解では、長老が描いたとされるシギトロとポ・トロの軌道が、共通重心を回るものではなく、地球から見たときの傾いた楕円軌道に一致していることも説明がつきます。

ところで先祖が半魚人だったという話は、メソポタミアのシュメール人も同じで、”オアンネス”という半人半魚が毎朝海から現れて、シュメール人たちに高度な知識を与えたと言われています。

  シュメール人の神官の姿。オアンネスを真似て魚の皮を被っている。
  ( Dogon より)

これは、やはり大昔に半人半魚に見える宇宙人がやってきたのか?
それとも、これも ”文化の再解釈” でコピられたものなのでしょうか?


★ミステリーその3 シリウスは昔は赤かった?

紀元2世紀の古代ローマの学者プトレマイオスは著書アルマゲストの中にシリウスを、ベテルギウス、アンタレス、アルデバラン、アルクトゥルスと共に「犬の星と呼ばれ 赤い」と書いています。

また、紀元前後の古代ローマの哲学者・詩人のセネカも、シリウスは火星よりも赤いと記しているといいます。

確かにシリウスは、伴星シリウスBが赤色巨星となって赤く見えていた時期がありますが、それは恒星進化論では1億2000万年前とされています。この理論が誤りで、恒星の進化が数千年で起こることは、まずありません。そこで様々な説が出されました。


地球とシリウスの間を小さな星間ガスが通過して一時期赤く見えたとの説がありますが、最新の観測でもシリウスの近くに星間ガスは見つかっていません。
シリウスの周りを回る赤いシリウスCがあって、それが楕円軌道でシリウスに接近した時にその赤いガスがシリウス本星に降り注いだとの説もありますが、これも最新の観測から、シリウスCは見つかっていません。

ところが、1996年に日本の櫻井幸夫さんがいて座に発見した「進みの遅い新星の可能性のある天体 possible "'slow' nova」を発見したことで状況は一変します。
この「桜井天体」と呼ばれるようになった現象は、白色矮星になったばかりの天体が「最後のヘリウムフラッシュ」を起こして、一時的に赤色巨星となって輝いたものでした。

  桜井天体の想像図(SciTechDaily 2014/4/3 より)

  赤色巨星 再燃(Astronomy 2005/4 より)

  星の変化にはとても長い時間が必要だ、というのが天文学での常識でした。
  わずか数ヶ月で星の色が変わるのを見て、本当に驚きました。
    イギリスの天文学者 ドン・ポラコ教授の言葉

  当時、人間の時間スケールで星が変化すると考える人はごく僅かでした・・・
  でも「桜井天体」がその流れを変えてくれました。
  星は思っていたより速く変化することがあり得るのです。
    ドイツの物理学者 ウォルフハード・シュロッサー教授の言葉
                              (コズミックフトントNEXTより)

赤いシリウスが「最後のヘリウムフラッシュ」であったとはまだ断定されておらず、天文学者はハッブル宇宙望遠鏡の後継として打ち上げられるウェッブ宇宙望遠鏡を使ってシリウスCを探そうとしています。シリウスのミステリーを巡る研究は、まだまだ熱いです。

『基礎からわかる天文学』2018年01月07日

図書館で、興味深い本を見つけました。『基礎からわかる天文学』(半田利弘、誠文堂新光社)


天文月刊誌 天文ガイドで最新の天文学について分かりやすく連載している方だけだって、太陽系から銀河宇宙や宇宙論などについてとても分かりやすく、また興味深く書かれています。

この本の中で私が特に興味を持ったのは、他の本では見ない、いろいろな数値。

1-2 太陽系の様子
 星の形と自己重力
  地球や月のように岩石でできている場合、直径800km程度、質量5×10^20kg程度、
  これは地球の直径の1/8程度、質量の1/12000程度、
  これより質量が大きな天体はほぼ球形となるのです。

1-5 小惑星の特徴
 小惑星の密集度
  (小惑星が)火星軌道と木星軌道との間の同一平面上に一様に広がっているとしたら、
  小惑星が広がっている範囲は1.7×10^18km^2になります。ここに30万個が一様に
  散らばっているとすると平均間隔は270万kmほどになります。これは地球と月の7倍以上。

2-2 恒星の明るさと色
 等級の基準
  等級の基準は当初、北極星やその周辺の恒星の明るさが基準となっていました。
  しかし現在は、ベガを0等とすることが1つの標準となっています。測定に基づいた
  その明るさは波長548nmで3.64×10^-11Wm^-2nm^-1 になります。
  ほかの決め方と区別するために、これをベガ等級とよんでいます。
  近年では、波長によらず単位周波数あたりのエネルギーから直接定義される
  等級も使われるようになってきました。この場合、3.63×10^-23Wm^-2Hz^-1 を
  0等とします。こちらの等級をAB等級といいます。

2-10 褐色矮星と浮遊惑星
 褐色矮星
  恒星の質量が十分に小さいと、原始星に続く水素核融合反応がそもそも起こりません。
  この限界は理論による研究から中野武宣らによって最初に見つけられ、
  その値は太陽の0.08倍とされています。これがもっとも軽い恒星の限界といえます。
  とはいえ、宇宙には水素より核融合が起きやすい原子核がわるかながら存在します。
  それは重水素です。
  このため、太陽の0.08倍より軽い天体でも核融合がエネルギー源となる天体が
  存在しうるわけです。これを褐色矮星とよびます。

この本の冒頭部分ですらこれだけ興味深い数字が載っています。とても良い本です。

新書 『天文の世界史』2017年12月10日

『天文の世界史』という興味深いタイトルの本が出版されると知り、早速 Amazon で予約しました。帯に書かれた文章がスゴイ!
 「インド、中国、マヤまでをも網羅した、初の天文学通史!」


内容がまずスゴイです。以下、目次の抜粋(Amazonから)
【目次より抜粋】
はじめに

第1章 太陽、月、地球――神話と現実が交差する世界
クリスマスの起源は太陽の誕生日?/惑星になった生首/アップデートを放置して823年間

第2章 惑星――転回する太陽系の姿
「2012年世界滅亡」の嘘/ホロスコープ占いを説くお経/21世紀の太陽系再編

第3章 星座と恒星――星を見上げて想うこと
「13星座占い」は必要?/イスラム風のオリオン座/赤い星と青い星、熱いのはどっち?

第4章 流星、彗星、そして超新星――イレギュラーな天体たち
超新星は恒星の引退/私たちは星の爆発で生まれた存在?/歴史と今とをつなぐ超新星残骸

第5章 天の川、星雲星団、銀河――宇宙の地図を描く
星雲星団の名前にMやNGCが多いワケ/宇宙の大きさと銀河を巡る「大論争」/見えざる9割の暗黒物質

第6章 時空を超える宇宙観
天体の計算と宇宙の構造は別問題/ヒンドゥー教と天文学の奇妙な関係/宇宙の年齢、そしてその運命に迫る

終章 「天文学」と「歴史」
インドを侵略した王とインドを愛した宮廷占星術師/植民地と天文学/火星人のように異質な日本人?

内容のすばらしさは、「はじめに」に書かれた次の説明からも分ります。
  そんなふうに今日ですら天文学の教科書がどんどん書き替えられている中で、この本で何百
 年も前の天文について知ることに、一体どんな意味があるのでしょうか。
  私は、天文の「問い」を知ることに大きな意義があると考えます。
   (中略)
  今も昔も「天文」にはまりにも多くのことが含まれているので、教科書のように全ての事
 柄を時系列に並べると、たどっていくのが難しくなってしまうおそれがあります。そこで本書
 では天体の種類によって章を区切ることにしました。天体ごとに「天文」の異なる様相が見え
 て、天文における「問い」の変遷もはっきりしてくることでしょう。

このようにして天体ごとに「天文」の「問い」を眺めることで、それぞれがとても分かりやすく、また興味深く読み進めることができます。

ただ、「天文の」「世界史」と題していることもあって、それぞれの事象の詳細や天文学的な内容や、世界史的な内容はさらっと書かれているので、本書を読み進めるには、そういう事柄をさらっと流すか、それぞれについてそれなりに知っている必要があるようです。

ともかくも、これまでに例を見ない良書だと思います。

皆既月食と火山の噴火2017年11月30日

来年1月31日夜に、日本全国で見られる皆既月食が起こります。



ところで、バリ島のアグン山が11月21日に噴煙が上がり、25日に噴火が活発化しました。インドネシア国家災害対策庁(BNPB)では27日に、今後大噴火が起こる恐れがあると、警戒レベルを最高位に引き上げました。


標高3000mあまりのアグン山から出た噴煙はその上3000mまで達しているといわれますが、NASA の研究チームによると海抜9600mまで達しているとのこと。もし今後 大噴火が起こって噴煙が成層圏(赤道付近では高度11000m~)まで達すると、火山灰は地上に落下すること無く、その後数年に渡って世界中に散らばり、太陽からの日射光を遮ることになります。

1982年12月30日に起こった皆既月食では、皆既中の月がほとんど見えないという事態になりました。皆既月食中の月の明るさは「ダンジョン・スケール(尺度)」で表されますが、この時のスケールは「0」とされています。


これは、1982年春に噴火したメキシコのエルチチョン火山の火山灰が成層圏に達して影響を及ぼしたと考えられています。
また、1993年6月4日に起こった皆既月食も、ダンジョン尺度で「1」程度まで暗く、これは月食の2年前の1991年6月に大噴火したフィリピンのピナツボ火山の火山灰の影響と考えられています。

2018年1月31日の皆既月食の際、月で見られる地球による日食の始まりと終わりの時を Guide で表示してみました。
  食の始まり  東南アジア上空が地球の縁に近く、噴煙の影響を受けやすい

  食の終わり

暗い皆既月食は興味深いですが、成層圏まで上がった火山灰は世界中を寒冷化させるため、好ましいものではありません。気になるとところです。

初の恒星間小天体と太陽向点2017年11月21日

10月19日に発見された小天体 A/2017 U1 が太陽系外からやってきた初の天体であることが認められて話題になっています。(10月29日の日記

この小天体に11月7日に「ʻOumuamua」という名前が付けられました。この名はハワイ語での「手を差しのばす、手を差し出す」という意味の「'ou」と、「最初の、より前に」という意味の「mua」を強調の意味で2つ繰り返した造語で、「長い時間をかけて太陽系外から私たちのところにやってきたメッセンジャー」という意味が込められた名だということです。(AstroArtsの天文ニュース

この後を日本語でどう発音するべきか、Google翻訳で調べたところ、「'ou」は「オーウ」と読むので「オーウムアムア」かなと思っていたのですが、日本語サイトのあちこちで「オウムアムア」と書かれるようになりました。残念(+_+) 「オウム・アムア」と読まれないことを願います。


この恒星間小天体はすでに地球から遠ざかりつつあるのですが、貴重な機会なのでハッブル宇宙望遠鏡を含め世界中の天文台で観測が行われ、その変光パターンから、葉巻型の、非常に細長い天体であることが分りました。

  ʻOumuamua の光度グラフ

  ʻOumuamua の想像図(ESO)
  上2つの画像は Sky & Telescope から

ところでこの「'Oumuamua」は、地球から見てこと座の方向から「やって来た」と言われています。詳しくは、RA=18h 39m 14s、dec=+33 59' 50" (誤差 2' projectpluto サイトから)
そして太陽系へは 26.33km/s の速度で「やって来た」とも。

ここでフト思い出したのは、こと座の方向って、太陽が銀河系を公転している中で近隣恒星に対しての運動方向である「太陽向点」の方向なんですね。

  太陽向点(ja.Wikipedia より)

太陽の太陽向点への運動は 19km/s なので、この小天体自身もある程度の速度を持って銀河系内を移動中に、太陽系がその小天体の方向に「やって来た」ので太陽の引力に捕まって接近してきたということになります。

銀河系の中を、さまよう小天体と、それに接近する太陽系。
その様子を想像すると、銀河系宇宙の壮大さを感じます。