惑星カメラを購入2019年07月22日

5月末の週末夜にひろのまきばの天文台へ久々に星見に出かけた際、駐車場が星見屋さんの会場になっていることを知った。車で数台だけど、買ったばかりの Vixen ポラリエで星空撮影を試みる人、お婆さんを連れて家族で星見を楽しむ人、スゴイ機材で天体撮影をする人など。まぁ、私もそんな一人ですが。

そんな中に、スマホのWiFi接続でコンtゴロールできる経緯台に乗った口径10cm位のマクストフ望遠鏡を惑星カメラ(ZWOのASIカメラ)を繋いで、自分は車の中でPC画面で天体観望する方がいました。これがいわゆる「電子観望」か! 天文月刊誌を見ない私ですが、「電子観望」というスタイルがあることは知っていました。しかしそれを実際に見るのは初めて! いろいろ話を聞いたのですが、望遠鏡は外で、自分は車の中で天体観望ができるなんて、なんてイイ環境なんだろう、と思いました。ただ、ソレって天体観望した気持ちになれるのかな、というのがヤヤ疑問でした。

その後何度か晴天に恵まれた夜にいつもの場所へ出かけて星座や天体の撮影をしました。今春から出かけての天体撮影で思うようになったことがあります。

せっかく星座や天体の画像を撮ってもそのほとんどが撮りっぱなし。画像処理して完成品にしていません。かといって時間をかけて完成品を作っても、私にはそれを展示する場所や機会もありません。また、まだ見たことの無い星雲や星団は導入にかなり苦労しています。それだけ私はまだ星雲や星団に親しんでいないということなんでしょう。

こんな思いから、一度、撮影は行わず、眼視観望だけやってみました。これはそれなりに楽しめました。初めて見る天体は楽しいものです。しかし、その記念、つまりはスケッチなり写真などの記録が残らないことも残念な気持ちになりました。

こんなことから、惑星カメラを導入しての「電子観望」に心が揺れました。

そんな折り、7月始めにある天文現象(掩蔽現象)の観測の話を頂き、「暗い恒星の観測をできる環境があるとイイなぁ」という誘惑が襲いかかり、検討に検討を重ねて、惑星カメラを購入しました。ソレが届いたので、慣習に従って、開封の儀(^o^)


一口に惑星カメラといってもいろいろある中、選んだのは今主流らしい、ZWO社ASI290MC(カラー)。協栄産業で他社より安く売っていたので購入。届いた箱は、24×17×16(高さ)cmの箱。品名には「天文機材(電子機器)」との記載。


丁寧に梱包された段ボール箱の中に入っていたのは、ZWO ASI カメラの箱。14×14×5cmと小振り。


箱の中には、KYOEI オリジナルの日本語説明書と、ドライバイやソフトのCD、そしてカメラ一式。


カメラ一式には以下のものが入っていました。
・カメラ本体。魚眼レンズ付き。
・USB3.0ケーブル
・RJIガイドケーブル(オートガイド用)
・T2(M42/P=0.75mm)→31.7スリーブアダプター(カメラをアイピースサイズに変換)
・31.7スリーブキャップ

カメラの電源はどうするのかなと思っていたら、USB3.0のコネクタが電源供給タイプだった。

  CCTV LENS 2.1mm(魚眼レンズ)の付いた ASI290MC

  レンズを外して受像素子を見たところ。受像素子のサイズは5.6×3.2mmだそうだ。

  カメラを三脚に乗せ、USB3.0ケーブルを接続

惑星カメラの使い方と試写2019年07月23日

このたび KYOEI 産業から購入した ZWO社 ASI290MC に付属の CD-ROM には、ドライバーの他にソフトも入っていました。
・AS!2
・ASCOM
・FireCaprure
・SharpCap
ZWO社は SharpCap を推奨しているとのことなので、これをインストール。以下、使い方。

  起動ロゴと起動画面


惑星カメラをPCに繋いで SharpCap を起動すると、メニューの [Camera] でそのカメラが選択できるようになります。するとカメラの撮像している画面が表示されます。


初期設定では露出などが [Auto] になっているので、自動露出で魚眼レンズの映像が表示されます。また、画面右側に様々なコントロール項目が表示されます。


まず [Capture Format and Area] から。ここではキャプチャーするデータの種類、キャプチャーエリア、ビニング、ファイルフォーマットが指定できます。

[Colour Space] で、カラー・白黒・ベイヤー配列データが選べます。簡単操作の場合は、カラー(RGB24)か白黒(MONO8)を選べば良いです。

[Bining] は、複数の画素を1つにして読み出す機能です。ASI290MC では 1 と 2 が選べます。2 にすると感度が2倍になります。その分、ノイズも2倍に。これは用途で選びます。


[Capture Area] は撮影範囲ということでもあり、保存画素数という意味でもあります。ASI290MC の受像素子は5.6×3.2mm を 1936×1096 ドットで受像します。これ全部を使うと受像範囲は広いですが、保存されるファイルサイズも大きくなります。なので、必要に応じて受像範囲を選びます。

  上の魚眼画像を 1280×1024 の範囲に指定した場合

  上の魚眼画像を 640×480 の範囲に指定した場合

[Output Format] では、保存するファイル形式を指定します。


動画ファイルでは SER と AVI が指定できます。静止画は PNG、FITS、TIFF から選びます。

動画ファイルとしては AVI 形式が古くからよく使われています。動画再生ソフトのほとんどで再生できます。しかし古いフォーマットであるため、階調が 8bit で保存されるそうです。一方、最近の CMOS カメラでは 16bit で受信しているため、これを AVI で保存すると階調が失われるとのこと。そこで SER フォーマットが作られ、CMOS カメラを使った惑星画像などは SER ファイルでやり取りされることが多いとか。もっとも、SER ファイルは階調が多い分、ファイルサイズも大きくなってしまうワケです。SER ファイルを再生したり変換する SER Player というソフトがあります。
  https://sites.google.com/site/astropipp/ser-player

なお、[Output Format] を [Auto] にしていると、露出2秒未満は動画、2秒以上では個々のフレームの静止画で保存されます。

[Debayer Preview] とは、ベイヤー配列形式(白黒)で撮影したものをカラー合成してプレビューしてくれるそうですが、よく分りません (^^;

次の [Camera Controls] で、撮影の設定を行います。


[Exposure] は露出時間。ボタンをドラッグすると、左端で 0.032msec、右端で 5.0sec に指定できます。[Quick Picks] を使うと秒数で指定できます。1/16000sec ~ 15min まで指定できます。

[Gain] は感度のようなもの。0 ~600 の範囲で指定できます。[Auto] もあります。特に必要が無ければ 120 位で使うのが良いそうです。

[Frame Rate Limit] では、コマ保存する間隔を指定します。480fps(1秒に480コマ)~30分に1コマまで指定できます。タイムラプス撮影もできるワケですね。

他にもいろんな設定や機能がありますが、とりあえず試写。

まずはお試しなので、魚眼レンスで。
設定は Gain=550、Exp=0.05sec。撮影開始後に、南を下にし、天頂へ向ける。上はビニング1、下はビニング2。この時は初挑戦だったので、撮影中に設定を変えるので、ちゃんとデータが残せなかった。

  (クリックで拡大)

中央やや左下がこと座。その左にはくちょう座。左上の林の上にカシオペヤ座。1/20sec 相当なのに、すごく写るものです!

惑星カメラの使い方と試写 その22019年07月24日

惑星カメラ ASI290MC は、説明書によると、31.7スリーブアダプターを付けてアイピースのように望遠鏡に取り付けるか、カメラ本体のT2ネジ切りを使って望遠鏡本体に取り付けて使うといいます。そこでやってみました。

  カメラに31.7スリ-ブアダプターを取り付ける

  望遠鏡のアイピース部に差し込む

  カメラ本体をT2マウントに取り付ける

ところがこのどちらにしても恒星にピントが合いません! 絶体絶命 (+_+)

そこで、最後の手段で、祈りを込めて、惑星カメラに Cマウント→ニコンマウントを付けて望遠鏡に付けてみました。

  望遠鏡にニコンマウントアダプターを取り付け

  カメラに Cマウント→ニコンマウントを取り付け


これで恒星にピント合わせを行ったところ、合いました! \(^o^)/

[ZWO ASI290MC]
Binning=1
Capture Area=1936x1096
Frame Rate Limit=30 fps
Gain=600
Exposure=0.5
Brightness=1

  (クリックで拡大)

写野が 24’×17’という狭さ。これは 5mmアイピースで見た範囲に近いです。ファインダーが望遠鏡の中央にちゃんと合っていなかったため、土星を視野に入れるつもりが、全く別の星が入ったのでした。それだけ中央の星が明るく見えました。

いろいろ確認したら、土星のすぐ上にあった、いて座π星(2.9等)でした。写っている場所が確認できたので、写っている恒星の明るさを調べてみました。なんと、14等まで写っていました! たったの 1/2秒露出なのに!!

  (クリックで拡大)

これだけ高感度なカメラだと、どれだけ天体が見られるか楽しみです!

ところで、ASI290MC は、赤の感度が高いです。そのため、上画像の右下の2つの 13.1等星で明るさが違います。明るい方は赤い星でした。見かけの恒星と比較するためには赤外カットフィルターが必要なようです。

  ASI290MC の感度曲線。マニュアルより。

惑星カメラで土星近くを撮影2019年07月25日

惑星カメラ デビューレポート、その4。
ここ数日、幸いにも星夜に恵まれ、毎晩試写ができています。

昨夜は、前回導入をし損なった、土星を撮ってみました。今回は、動画版版と、スナップショット版の比較。

まず動画版。

[ZWO ASI290MC]
Binning=2
Capture Area=1936x1096
Gain=600
Exposure=0.033333  = 1/30秒

この設定で撮った動画のPCの画面キャプチャーすると、ノイズが大きく写ります。

  動画を再生中に、PC画面をキャプチャーしたもの

しかし動画を目で見ると、も少しスムーズな画面に見えます。試しに100フレームを加算平均コンポジットすると こんな感じ。バックグラウンドがスムーズになりすぎ!

  動画の 100フレームを加算平均コンポジットしたもの

一方、SharpCap には SnapShot 撮影機能もあります。こちらは静止画で保存します。

[ZWO ASI290MC]
Binning=1
Capture Area=1936x1096
Gain=300
Exposure=15  = 15秒

  Gain=300 のノイズ少なめで 15秒露出したものをスナップショット

ノイズ少なめの低感度にしているのに、さすが、15秒露出で15等星まで写っています!

  同じ設定で、1/240秒で撮影した土星をトリミング拡大

焦点距離が800mmの望遠鏡の直焦点では、惑星の拡大撮影は難しい、ということです。

木星とその周辺を撮影2019年07月26日

惑星カメラ デビューレポート、その5。
昨夜は木星の撮影。といっても、機材は同じ、焦点距離 800mm なので、木星面の模様がハッキリ写る可能性はありません。

惑星カメラで撮像範囲を狭くすると、木星が相対的に大きく写ります。単にそれだけです (^^;

[ZWO ASI290MC]
Capture Area=640x480
Frame Rate Limit=60 fps
Gain=300(Auto)
Exposure=0.001041  = 1/960秒

  動画撮影した木星を、PC画面キャプチャー

とりあえず縞模様は見えます。まぁ、そんなもんでしょう。

動画で、木星周辺の恒星を撮影。1000フレームを加算平均。
[ZWO ASI290MC]
Binning=1
Capture Area=1936x1096
Frame Rate Limit=60 fps
Gain=593
Exposure=0.5  = 1/2秒

  木星を左上に外して、周辺の恒星を撮影

  星図ソフト Guide9 で表示した写野。14等まで写っている。

(3200)Phaethonによる恒星食2019年07月27日

ふたご座流星群の母天体として知られる小惑星(3200)Phaethon による恒星食が、8月21日27時半に日本北部、というか、青森県で見られるという予報が出ていました。

  (クリックで拡大)

この小惑星はJAXAが「深宇宙探査技術実証機(DESTNY+)を使って、はやぶさ2の次なる小惑星探査機として、Phaethon に接近探査する予定です。

  JAXA DESTNY+探査機

DESTNY+ ははやぶさ探査機と違って小惑星に着陸はせず、接近通過して、その際に Phaethon の撮影やダストなどを観測します。


しかし Phaethon の大きさが、アレシボ電波望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡などの観測で結果がやや異なることから、探査機での接近観測の際のデータとして、大きさを測定できる恒星食を観測したいとのことで、掩蔽観測家に協力依頼が来ていました。
  DESTNY+ミッション概要と、恒星食の観測以来のページ(千葉工業大学)

国立天文台の相馬先生から連絡の合ったO氏から相談を受け、観測グループに対して現地サポート役として、予報の掩蔽帯で観測布陣地を検討していました。

小惑星による恒星食のグループ観測は、掩蔽帯に対して直角に並んで布陣するのが理想です。そこでまず、A~Eのエリアを想定しました。


そして8月25日夜に、エリアDの掩蔽帯での観測布陣できそうな場所を探しに出かけました。夜を選んだのは、六カ所原燃や石油備蓄基地などの照明が気になったからです。

  Nikon Df + D=20mm・F=2.0、ISO-12800、4sec

下見した結果、原燃や備蓄基地の照明の影響はほとんど無いことが確認できました。問題は、掩蔽帯が国道の民家の少ない地域だったので、脇道や空き地といった布陣できる場所があまり無かった、ということでした。願わくば、改良予報で掩蔽帯が少し南下してくれれば、と思いました。

惑星カメラで掩蔽現象の観測2019年07月28日

以前 アルデバランの接食を遠征観測したことがありました(2018年1月28日)。月による恒星食など、掩蔽現象は、天体が運動していることを実感させてくれ、またその観測はアマチュアの機材でもそれなりにできる、とても興味深いものです。

最近興味を持っているのは、小惑星による恒星食。2016年4月19日に小惑星(480)Hansaがうみへび座の8.8等星を隠す現象を観測しました。といっても、予報の掩蔽帯は本州の少し南。恒星が明るかったから観測したのでした。しかも手持ちの天体用ビデオカメラでは写らないので、望遠鏡にカメラを付けて、恒星追尾しないで静止撮影。

先日入手した惑星カメラ ASI290MC は高感度で、しかも動画撮影できるので、コレは暗い恒星の現象も撮影できるのではと期待して、準備をしています。

掩蔽現象は秒の精度、できれば数分の1秒(0.1秒とか)の精度で観測記録したいところです。ちょうど、8月21日27時に起こる (3200)Phaethon による恒星食の観測について掩蔽観測に詳しい方々と連絡を取り合っていたので、観測方法について相談してみました。

まず時刻記録。これは ASI290MC で撮影処理するソフト SharpCap に時刻表示機能がありました。


SharpCap の時刻表示機能は、PCの内部時計の時刻を使っています。そこで、PCの内部時計を正確に合わせる必要があります。コレを合わせる方法として知ったのが、例えばステラナビゲータを使うと、GPSレシーバーで受信した時刻にPCの内部時計を合わせることができるとのこと。やはりGPSレシーバーが必要ということで、Amazonで注文。GPSレシーバーは本当にたくさんの種類があって、どれがイイのか分らず、地形図ソフト『カシミール』にも対応しているというモノを購入しました。


GPSレシーバーが届き、早速ドライバーをインストール。これは USBポートを COMポートと見なしてくれるドライバーのようです。
次に付属ソフトをインストールして起動! GPSの信号の受信に成功すると、経緯度と世界時を表示してくれます。


これで正確な時刻を表示しながら観測できそうです!

惑星カメラで恒星等の試写2019年07月31日

昨夜は、やや透明度は悪いものの晴れたので、引き続き惑星カメラ ASI290MC の試写。今回は遠出はせずに、近場で新しい場所を探索。すると町営運動場の駐車場が、周囲の灯りが入らず、良い場所であることを発見。近くにトイレもあって便利。もっとも和式便座だったのがチト難(^^;

20cm反射望遠鏡に ASI290MC を付け、まずは土星から。

Binning=2
Capture Area=1936x1096
Colour Space=RGB24   = カラー撮影
Frame Rate Limit=30 fps
Gain=533
Exposure=0.033333    = 1/30 sec



とりあえず動画からPCの画面キャプチャー。2ビニングなのでノイズが多いが、動画で見ると結構きれいに写っています。これをスタッキングしてみました。
初めは Stella Image の動画スタックを使ってみたのですが、ガイドずれをそのままスタックするので、恒星像が線になってしまいました。

  StellaImage で動画スタック

そこで、動画のスタッキングならこのソフト!という、Registax 6 でスタックしてみました。さすが動画スタックソフト。動画のフレームの中から、像の移動などを検出して、使えるフレームだけスタックしてくれます!

  1/30sec で撮影し1000フレームの動画から 700 フレームをスタック
  14等星まで写っているのが確認できます。

  共に、Registax でスタックした後、StellaImage でヒストグラム調整とシャープ処理



  アルビレオ。1/15sec、白黒。なんで白黒にしたんだっけ?

  ベガ。1/8sec、白黒。

  こと座ベータ星。4重星。1/8sec、カラー。

  上の目印の2星から南へ移動して、こと座リング星雲。
  2ビニング、ゲイン500、1/8sec。動画を PC画面キャプチャ。

  上の動画を撮影中に、何か設定を変えた 10フレームをコンポジットしたもの。
  16等星まで写っていた。

  デネブ。2ビニング、ゲイン600、1/15sec。
  Registax でスタック。StallaImage でヒストグラム調整とシャープ処理。