クリスマスと星 その12018年11月23日

【星空案内Tips】クリスマスと星 その1

まだ1ヶ月以上も先なのですが、街ではLEDイルミネーションの点灯が行われ、パーティ用食材の予約が始まるなど、そろそろクリスマスの話が出てきました。クリスマスと星とはいろいろと関係があるので、紹介したいと思います。

1.「クリスマス」って何の日?、「ベツレヘムの星」

「クリスマス(Christmas)」とは、キリスト教でイエス・キリストの降誕を祝う祭り(以前は、誕生日ともされていた)で、12月25日に行われます。

ただし、キリスト教に先立つユダヤ教では一日の始まりを日没としていたため、今日の時刻制度では前日の12月24日の日没からを「クリスマス・イブ」と呼んで、教会暦上はクリスマスと同じ日時としています。
※「イブ」は「Evening」に由来し、「クリスマスイブ」は「クリスマスの夕べ」と呼んだりしています。決して「前日」という意味ではありません。 ですので、12月23日を「クリスマス・イブ・イブ」と呼ぶのも誤りです(^^;

イエスの誕生については、新約聖書の『マタイによる福音書(マタイ伝)』と『ルカによる福音書(ルカ伝)』に書かれています。もっとも、新約聖書はイエスの昇天から60~80年後に書かれた(まとめられた)と考えられていて、また12使徒が知っているのは自信がイエスと出会ってからのことなので、イエスの誕生にまつわる話は事実であるとは考えられません。つまり『マタイ伝』や『ルカ伝』に書かれている話は、何かしらの意図があってそのようになっていると考えるのが正しいのでしょう(と、クリスチャンの方には言えませんが ^^;)

『マタイ伝』には、次のような物語が書かれています。時系列に改めています。
(1)イスラエルの東の方で占星術師が、ユダヤの王が生まれたことを示す星が
 出現したことに気づき、祝福するためにヘロデ王のいるエルサレムを訪れた。
(2)"東方の三賢人" はヘロデ王に「ユダヤの王として生まれた方」がどこにいるか
 訪ねた。ヘロデ王が学者を集めて問うと、「それはベツレヘムです」と言ったので
 三賢人にそう伝えた。
(3)三賢人の前に「東方で見た星が(現れ)、彼らより先に進んで、幼な子のいる所
 まで行き、その上にとどまった。」 彼らは家に入って、「母マリヤのそばにいる
 幼な子に会い、ひれ伏して拝み、また宝の箱を開けて、黄金、乳香、没薬などの
 贈り物をささげた。」
(4)ヘロデ王は、自信の地位を脅かすユダヤの王など殺そうと考えていた。
 三博士の夢に天使が現れ、ヘロデ王のところに帰るなと告げられたので、
 他の道を通って国に帰った。
 天使は幼な子の父ヨセフの夢にも現れ、ヘロデ王が殺そうとしているから、
 エジプト(ヨセフの出身地)へ行って、あなたに知らせるまでとどまっているよう
 言ったので、ヨセフはマリアと幼な子を連れてそのようにした。
(5)三博士が戻らないことに気づいたヘロデ王は、ベツレヘムと付近の地方にいる
 2歳以下の男の子を、ことごとく殺した。
(6)やがてヘロデ王が死ぬと、ヨセフのところに天使が現れて言ったので、
 ヨセフは妻子を連れてイスラエルへ行った。

『ルカ伝』にはこれを補足するような、しかしかなり詳しい物語が書かれています。

ここで注目したいのは、東方の三賢人(日本語訳聖書では三博士)が見た”ユダヤの王が生まれたことを示す星”、そして彼らをマリアのところに導いた星とはどんなものだったか、ということです。この星は、彼らをベツレヘムの地に導いたという意味で「ベツレヘムの星」と呼ばれるようになりました。

キリスト教会では長らくこの星は精霊のようなものの程度に考えられていたようですが、17世紀の天文学者ヨハネス・ケプラーが画期的なアイデアを提示しました。

1604年にケプラーは、へびつかい座にこれまで無かった新しい星が出現したのを発見し、観測しました。これは「SN1604(ケプラーの新星)」と呼ばれています。ケプラーは、恒星天は不変だと思っていたので、新星の出現に驚きました。ケプラーは、ちょうどその時に、新星のすぐ近くに木星・土星・火星が集合していたことから、「木星と土星が接近し、そこに火星が入ると、新星が出現する」と考えました。

ケプラーのこの考えも、こんにちの私たちからすると驚きですが、ケプラーはさらにもしかしたら聖書にある「ベツレヘムの星」もこのようなものではなかったかと考え、木星と土星の2星会合の周期と位置を詳しく計算しました。その結果、なんと、紀元前7年にうお座で木星と土星が会合し、そこに火星も入り込むことが分かり、この時に新星が現れ、それが「ベツレヘムの星」ではないかとしました。

ケプラーのこの主張が当時どのように受け取られたかは分かりませんが、「ベツレヘムの星」の正体を星空に求めるというアイデアは画期的なものでした。その後多くの天文学者や天文家が様々な天体や天文現象を「ベツレヘムの星」の候補として提案しています。