宮沢賢治『星めぐりの歌』 その22015年09月01日

宮澤賢治の『星めぐりの歌』は多くの歌手がカバーして、たくさんのCDに収められています。そんな中で、自分のお気に入りの曲を得るには、実際に買ってみるしかありません(^^;
数枚買ったCD中で、次の曲が私のお気に入りです。

このCDの中では、1曲目と10曲目が『星めぐりの歌』です。
1曲目はオカリナでのメロディ、10曲目は少年のアカペラ。どちらも心地よい曲です。
なおこのサイトでは、1曲目含め数曲を視聴することができます。


さて、賢治作詞作曲の「星めぐりの歌」の後半。
  アンドロメダの くもは
   さかなのくちの かたち。
この部分は、謎な部分です。

「アンドロメダのくも」という部分は、ひらがななので断定できませんが、「アンドロメダの雲」とすれが、アンドロメダ大星雲のことを指すと考えられます。
謎は、それが「魚の口の形」をしている、という部分です。

実は星座絵図コレクションの中に、アラビアの星座絵で、アンドロメダ座にかぶさるような大きな魚座が描かれたものがあります。

この図は、アラビアの天文学者アッ=スーフィーの星座絵集をベースに描き直したもののようです。
アッ=スーフィーの星座絵集には、アンドロメダ座が2種類収められています。アンドロメダだけのものと、巨大な魚がかぶさっているものです。

この図では、アンドロメダ大星雲が魚の口の位置にあたるのですが、賢治の時代にこのアラビアの星座絵が日本で紹介されたとは考えられません。

先の草下英明氏の『賢治文学と天体』の中では、次のように書いています。
 「アンドロメダのくもは、さかなのくちのかたち」というもの少しおかしい。
 賢治は他の作品中で琴座の環状星雲のことを、魚口星雲(フィッシュマウスネビュラ)と
 読んでいる(『シグナルとシグナレス』)が、アンドロメダ座の大星雲は、
 環状星雲とは全く性質の異なる渦巻状星雲である。或は、賢治は渦巻きの形も、
 リングの形の環状も一しょにして、魚の口を正面から見た形に見たのかもしれない。
しかしこれは推測で、根拠となるものがありません。

そんな中で、興味深い調査をしたブログを見つけました。以前にも紹介した「天文古玩」です。

筆者の調査によると、賢治の母校・盛岡高等農林学校の図書館の蔵書に『ロッキャー氏及びニューカム氏の星学初歩等(Elements of Astronomy,1878)』を訳した『洛氏天文学』(明治12年)があったといいます。その原著には、不規則星雲の項にこう書かれていたそうです。
 「One part of it 〔=オリオン星雲〕 appears, in a powerful
  telescope, startlingly like the head of a fish. On this account
  it has been termed the Fish-mouth Nebula.」
つまりフィッシュマウス星雲とは、オリオン大星雲のM42とM43の間の東側の部分を指していたようなんです。決してM57のことではなく!

そしてLockyer氏の上掲書では、p.49にオリオン大星雲の図があり、次のp.50の「不規則星雲」の項でフィッシュマウス星雲の記述があるのです。その文章のすぐ次に「リング及び楕円星雲」の項が始まり、そこにこと座のリング星雲と、アンドロメダ大星雲の図があります。アンドロメダ大星雲はなぜか、楕円のリングとして描かれています。
(これらの図は「天文古玩」のページに載っています)

そして、もしかしたら賢治はこの本を読んで、「フィッシュマウスネビュラ」は「こと座リング星雲」のことを指すと解釈したのかもしれないとのこと。


ところで、今ネットで「フィッシュマウス星雲」を検索しても、賢治の本での記載扱ったサイトしか見つかりません。私自身、こと座リング星雲の呼び名の一つに「フィッシュマウス星雲」があると、何かの本で読み知って、これまでの星空案内で何度も紹介していました。

今回の調査で、一応典拠として賢治の本を挙げられることが分かりましたが、実はそれは勘違いだったということは驚きでした。
 「この星雲のことを一般に”リング星雲”と言いますが、
  魚好きの人は”フィッシュマウス星雲”と、
  そして食いしんぼさんは”ドーナッツ星雲”と呼ぶようです。」
と話していたのは、誤りであった、ということです(T-T)

さらに「"fish" +"mouse" +"nemula"」で検索すると、その名を付けた日本のバンドの他に、天体の愛称としては全く引っかかりませんでした。欧米では知られていない呼称なのでしょう。残念です。

Redistaxを使ってみた2015年09月02日

8月31日夜に久しぶりに晴れたので、月を撮影してみました。

今までNikon1を使っていたので、焦点距離がレンズの2.7倍。
手持ちの400mmレンズは1080mm相当。写野の縦が1.25°もあり、月を撮るには空きが多すぎ。
望遠鏡の800mm直焦は2160mm相当。写野の縦は37’で、月にはギリギリ。
その中間が欲しいところでした。

今回はフルサイズ眼デジのNikon Df。
望遠鏡の800mmでは写野がまだ広いですが、2倍テレコンを使うとちょうど良いかも。
800mmでのオリジナルサイズではこんな感じ。

便利そうな眼デジを手にしたことで、カメラ小僧の気持ちが復活!
デジタル処理にも挑戦しようと、デジタル天体写真世界で有名なRedistaxをPCにインストールしました。使い方はチンプンカンプンなので、簡単な使い方を解説しているサイトを参考に。

Redistaxは、元は惑星などの天体動画を処理して模様を明らかにするソフトですが、数枚の静止画像でも処理してくれるそうです。

久々の天体写真ということで、1600万画素のフルサイズ(Lサイズ)で撮影したところ、Redistaxの扱えるサイズを超過してしまって、処理できませんでした(T-T)
なので、試写で写したSサイズ画像を、さらに4分の1にトリミングして作業に挑戦。

1枚画像なのでスタッキング処理はすっ飛ばし、輪郭を強調させて輪郭を浮き立たせるWavelet変換を。
Wavelet変換とは、他の画像処理でいう「アンシャープマスク」のことだとか。

処理前の生画像(部分拡大)

これにWavelet変換をかけて輪郭を強調。

簡単な処理で、よくもまぁ、ここまできれいにクレーターなどの地形を浮き立たせてくれるものです。
やはり、これからの天体写真は、デジタル処理をすることで、”自分の表現した画像に仕上げる”ことが重要になるのですね。

星のソムリエ講座「星空の文化に親しむ」2015年09月06日

9月5日は、八戸市児童科学館の「星のソムリエ講座」、「星空の文化に親しむ」の回。
講師は、昨年の受講生で、星空案内人の資格を取得した I 氏。


実は、星空案内人資格認定制度で「星空の文化に親しむ」の指導要領の大幅変更がありました。
これまでの内容は、その分野では確かに基本的なレベルなのですが、この分野に初めて触れる受講生さんには難しいとの意見が多数ありました。
そのことより、星空案内の現場で使える内容でなかったという意見を受け、星空案内の現場で使える内容を多く含むことと、講師の個性を活かせる内容にと、指導要領が改訂されました。

ところが、テキストは新しくなっていないため、受講生さんは聴取に苦労していたようです。講義の前半はテキストにある内容だったのですが、後半はテキストに載っていない内容でした。講師が用意した配布資料が多少の参考になりましたが、受講生さんの中には、今どのページの話をしているのか必至に探している人が何名もいました。その方たちは、講師の話の内容の書き取りもしていなかったのでしょうね。
指導要領が変わったという話を講義の最初にしていれば、受講生さんたちは講義内容を書き取りしていたでしょうに。

八戸児童科学館で特別プラネタリウム2015年09月07日

世間では、今年の9月19日(土)~23日が『シルバーウィーク』と呼ばれる連休です。いろんなところで、いろんなイベントが行われることでしょう。

今年は八戸市児童科学館でもシルバーウィークスペシャルとして、毎日特別プラネタリウムをやるそうです。しかも無料!


9月19日(土) CDコンサート (4回)
9月20日(日) プラ寝たリウム (4回)
9月21日(月) 季節の星空散歩 (4回)
9月22日(金) 「戦場に輝くベガ」 10:00と15:00は30分、11:00と13:30は60分
9月234日(木) 「わたしのゆめのプラネット」 10:00と15:00
9月23日(水) 星と宇宙の話 11:00と13:30

20日の「プラ寝たリウム」というのは、兵庫県の明石市科学館プラネタリウムで始めて、その後全国へ広まった、興味深い企画のプラネタリウム番組。
よくプラネタリウムを観ているといつの間にか寝てしまうということがあり、大都市では、暗い室内で気持ちの良い音楽や解説を聞きながら寝ることを目的にプラネタリウムへ行くという人が出るようになりました。
そこで明石市科学館プラネでは、プラネタリウムのヒーリング効果を活かして、わざと、気持ちよく寝られるような番組を作成。観覧者には希望により枕を貸し出したり。
これが結構 好評で、全国各地で同様のプラネタリウム企画が行われるようになりました。
それを今回 八戸でもやるということですが、さて、どんな内容でしょう。私はまだ未体験。楽しみです。

22日の「戦場に輝くベガ」は、山梨県立科学館で作ったプラネタリウム番組(制作は五藤光学研究所)。当時 館職員だった高橋真理子さん(現在 星空工房アルリシャ代表)が、太平洋戦争時代に航空隊だった方などを取材して作った感動の物語。
なんと、この番組のホームページもあるんですね。 http://www.veganet.jp/
今回は、なんと、高橋さんも児童科学館に来られるとのこと! これはぜひ歓待せねば!

23日の「星と宇宙の話」では、現 国立八戸工業高等専門学校(通称 八戸高専)の准教授で、以前は兵庫県西はりま天文台の研究員だった丹羽隆裕さんが 小中学生を対象に宇宙の話をしてくれるそうです。普段は高専生を相手に授業を行っているわけですが、さて、小中学生を相手にどんな話をしてくれるのかな?

青森県ではめったに見られないプラネ番組なので、私も可能な限り見てみたいと思っています。

平内町で、27日にお月見会2015年09月08日

平内町の若者が、町興し企画として、「ひらないプロジェクト」を行っているそうです。
その一環で、8月27日(日)には、「浅所海岸をお月見の名所に!」ということで、第1回「ひらないのお月見」を開催するとのこと。Facebookに公開ページもあります。


以下、FBからお知らせの部分を転載
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青森のおへそから ~私の平内、あなたの平内~

【お月見情報】
 夕方から日が沈み、月が昇るのを見てみなさんで感動を共有しましょう!
浅所海岸にてお月見をしますが、集合場所は「浅 所 小 学 校」が受付です。とくに参加費もありませんが、こちらからお食事などを提供することもありません。皆さんの持ち寄りでお月見感を創出していただければと思ってますm(__)m

 当日は桟橋のライティングや天体観測(解説付き)などを予定しておりますが、悪天候なども予想されますのでご了承ください(小学校での語り場に参加していただければ幸いです)。
FB、ツイッター、インスタグラムなどのSNSに#hiranai123のハッシュタグもしくは#平内町 ‪#‎浅所海岸‬ ‪#‎お月見‬ などのハッシュタグで投稿していただければ“同じ時間を感動を共有できる”と共に“平内町の良さを伝えられる”皆さんの協力が必要です!
ぜひ、みなさんの沢山のご参加、沢山の投稿をお待ちしております!!!
※写真撮影は自由ですが人物などの無断撮影はご遠慮ください。
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県内でお月見行事が行われるのはあまりないので、ぜひ行ければ、と思います。

天文単位2015年09月12日

天文学で、主に太陽系内で使う距離の単位、「天文単位」。
「Astronomical Unit」を略して、以前は「A.U.」や「AU」などと表記されていましたが、2012年に天文単位系が改訂されたため、現在は「au」と記すことになったそうです。
何が、どう変わったのでしょうか。

理科年表や天文年鑑などには、2013年版まで
  天文単位距離A=149 597 870m
と記されていました。この値は、Wikipediaによれば、1964年頃の、レーダーや天文測位による、地球軌道(楕円軌道)の長半径の平均値とされていました。

ところが地球の軌道半径は徐々に大きくなり、1980年代に出版された太陽系天体の位置計算式では、A=1.000 0014auが平均値になっていました。実質的に、天文単位距離は地球軌道の半径とは言えなくなっていました。

1976年のIAU総会では、天文単位距離が次のように定義されました。
  A^2=G・Msun・D^2/k^2
   G:万有引力定数、Msun:太陽質量
   GMsunを「日心重力定数」と呼ぶ
   k:ガウス引力定数

ところが、太陽質量は太陽の水素核融合でわずかながら減少することが、当然ながら考えられます。
また、ガウス引力定数の値を相対論で厳密に調べると、太陽-地球の距離の変化の影響を受けるのだそうです。

こういった事情から、以前はkは「定義定数」だったのですが、2012年のIAU総会では「定義定数」から外されました。
そして逆に、天文単位距離が「定義定数」となったのでした。その値は次です。
  A=149 597 870 700m

このような事情から、天文単位距離については、「太陽-地球間の距離」ではなく、「太陽-地球間の平均距離に由来する」と説明するのが、より丁寧なのでしょう。

光年の距離2015年09月13日

天文学で、恒星世界で使う距離の単位は「光年」。「light year」から ly と略されることもあります。

1光年の距離は、よく、「1秒に地球を約7周半回る速度の光が、1年かかって到達する距離」とされます。光が1秒間に進む距離は次のように定義されています(真空中)。
  C=299 792.458km/s

そして1光年の距離は、約9.4兆kmとされますが、もっと正確にはどんな値なのでしょう。
これを深く考えると、「1年って何日?」という疑問に当たります。
ちなみに、当然ながら、閏年に1光年の距離が長くなるわけではありません(^-^)

現在私たちが使っている暦は、1年の平均を365.2425日とするグレゴリオ暦です。
一方、現在の地球の公転周期(1年)は平均365.2422日です。この値の差から、グレゴリオ暦の誤差について論じられたりしています。

ところで「光年」で使われる「1年」は、もっと歴史的である「ユリウス暦」の365.25日です。
そのため、1年の長さは 365.25×86 400秒= 31 557 600秒となり、1光年の距離は
  1光年=9 460 730 472 580 800m
となると、Wikipediaには書かれています。


ただ、この値には疑問を抱きます。
数学では「有効桁数」があります。1光年の距離の計算で使われる数の最も大きい桁数は、1年の長さの秒数の8桁です。
ということは、その値を使った計算で有効な桁数も8桁になると思うのです。
ということは、先の1光年の詳しい値も、
  1光年=9.460 730 47×10^12km
とするのが正しいと思うのですが、いかが?

太陽を撮影2015年09月14日

今日は、本当に久しぶりに、太陽を見ることができました。
そこで、早速、眼デジで太陽の撮影を試みました。
今回使ったのは、f=800mmのフィールドスコープ。D=80mmなので性能は低いのですが、太陽撮影のためにD4(光量 1/10000)サン フィルターを使ってあったから。

Sun Filterには、写真用のD3と、眼視用のD4がありました。私は、眼視用だったら両方に使えると思って、こちらを選んでました。

そこで実際に撮影すると、ISO-800 で 1/500秒を必要としました。確かに眼視用のフィルターだと、存分に暗くしてくれるのですね。

久々に、星空撮影のために遠征2015年09月16日

ここ数日は晴天に恵まれ、そして16日が仕事が休みということで、空の暗い場所へ遠征して星空撮影を試みました。

まずは日没直後の月齢2.1の、つまり正しい『三日月』の撮影。
西空の見晴らしの良い場所へ出かけました。今回は暗い月の撮影なので、いよいよR200反射望遠鏡の出番です。下は、日没後に撮影した景色。

初めての場所で方位も分からないので、望遠鏡の三脚設置にはスマホの方位磁針を利用。

望遠鏡を組み立て、2倍テレプラスを付けてカメラを取り付け。

まだ月が見えないので、まず太陽を望遠鏡に入れました(もちろん、D4フィルター使用)。
次にスマホのプラネタリウムアプリ Vortex で、太陽の赤緯を調べます。+3°。そして望遠鏡の赤緯リングを+3°に合せます。
次に月の赤緯を調べます。こちらは-5°。そこで赤緯目盛を使って望遠鏡を-5°に向けます。こうして月を見つけやすい様にして、あとは望遠鏡を太陽の東に振りながら、細い月を探しました。

太陽が山際に隠れたのが17:35。望遠鏡を振っていたら、17:50に三日月を発見! 撮影を試みるも、背景の空が明るいので、月が目立ちません。下は ISO-800、1/250sec。

シャッター速度変えて試写を繰り返して、18:20に ISO-800、1/15secで撮影したのが下。

時間が経つと月の高度が低くなり、月も暗くなって、シャッター速度も長くなってしまいました。18:20で月の高度は2.8°。これではやはり、赤道儀が必要ですね。

この日の夜はさらに遠征したので、それは別の日記に。

星空でカメラレンズの性能調べ2015年09月17日

眼デジで星野を撮影した際、レンズの絞りを開放にした方が、明るい星が大きく、暗い星が小さく写るようです。
下は、北斗七星。f=50mm、F=1.4、開放。ISO-800、10sec。

しかしカメラレンズは一般に、絞りが開放では周辺減光が起こり、まだ周辺の像が歪んでしまいます。下は、上の画像の左側を拡大したもの。

手元に50mmレンズが3本あったので、それぞれの絞りを変えた時の周辺像の変化を調べてみました。

●レンズ1 No.5191734 開放F=1.4

●レンズ2 No.5299903 開放F=1.4

●レンズ3 No.2166277 開放F1.8

それぞれのレンズを、絞りを、開放・1段・2段絞って撮影したところ、いずれも2段絞らないと周辺の恒星像が歪んでしまうことが分かりました。
いずれでも2段絞るということは、Fの明るいレンズの方が写りが良い、という、当たり前の結論ですが。
ともかく、この試写で、撮影するときには単純に絞りを2段絞ればまずまずの像を得られることが分かりました。問題は、絞りを絞ることで恒星像がシャープになって、等級差が分かりにくくなる、という点です。星座を写すには、ソフトフィルターを使わないといけないようです。
下は、レンズ3のF=4.0の画像を調整して星を浮きだたせたもの。